《4》負に働く音色要素(N,C,Ω,δ,e´)の説明

              静体要素の係数(N,C,Ω)について

N ハンマーフェルトに起因しないノイズ。

  N=0でノイズが全くない状態を示す。負に働く音色要素の中に入れたが、実際にはN は要素ではな

  く、負の要素の集合の結果、ノイズとして聞き取ることが可能な量を示す。正常なアクションノイズ、

  打弦ノイズなどはΩ群に入りD群には起因しない。

C 音の濁り。

  C=0で音は限りなく透明になる。ただしピアノに一切問題がなくても設計上の要因、使用材料の要因

  で聴感上C=0でない場合があるが、これは負の要因要素としては扱わない。

Ω(a,b,c,d,〜)

  C以外の負に働く静体要素の集合を表す。音のビリつき、箱鳴り、ダンパーの止音機構の設計ミスによ

  る低音部の余計な震動など。

              動体要素の係数(δ,e´)について

δ vが時間と共に変化するとき立体図形全体の歪みを表す係数。

  δの値が小さいほど音は美しく素直に伸びて行くが、値が大きい場合にはひなり音、複雑な単弦うなりの

  ような音がする。δは負の要素として働く動体要素である。

e´e≒1>e>0の場合。即ち静体図形の開口部が楕円になり、時間と共に楕円の真円度が変化する場合。

 N、C、δ の値を限りなく0に近付ける為の作業、および Ω 群 の要素を一つ一つ点検し、原因を探り、要

素の数を少なくする為の作業は整音作業をする準備段階として中古品に限らず新品に関しても必ず行わなく

てはならない。 整音と言うのはそのピアノ本体が内在している能力を充分に引き出す為の作業である。

 N、C、δ の値が大きい場合、最高級のハンマーヘッドを使用し、いくら整音作業に手間をかけても美し

い音は決して作る事が出来ない。音像の輪郭線を擦りガラス越しに見てるようで音色に艶がなく無機質で空

虚な感じがする。これに対し N、C、δ≒0又は N、C、δ=0の場合、音に生き生きとした命と魂が感じ

られる。言い換えればピアノ本体に内在する音色要素の上限の値を最大限に引き出す技術が整音技術であり、

内在している音色要素の上限の値を最大限まで大きくする技術が本体の修理技術である。

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