《9》ハンマーヘッドのブロードマン地図
ハンマーヘッドのいわゆるブロードマン地図についてご説明しよう。人間の大脳皮質は各部分に
よってそのはたす機能が分担されている。この機能の分担を地図として表したものがブロードマン
地図と言われるもので、ハンマーヘッドにも同じような整音作業によって変化する音色要素「θ、
r、s、d、ε、f、vのブロードマン地図」と言うものが存在する。
大脳皮質のブロードマン地図との大きな違いは要素を支配する領域の中に幾つもの性格の違う要
素の重なりがあるということである。従って整音作業を行う上で最も難しい点は「ある要素のみの
値を変えることが出来ない」と言うことである。静体要素間の式をみても判るようにθ、r、ε、
vは互いに影響を及ぼしあっているのでθ、つまり母音の調整だけしようと思っても「r・円やか
さ」「ε・ハンマーから弦への基音エネルギー変換率」「v・音の伸び」が一緒に変化してしまう。
しかし面白いことにそれぞれの要素には飽和点が存在するものと存在しないものがあり、また存在
するもの同士には飽和点のズレがある。ハンマーヘッドのある部分に針を奥まで刺しつづけるとあ
る要素はそれ以上値が変化しなくなるが他の要素は変化し続ける。これを利用して要素間の量的相
互関係を作り出すことが出来るのである。
以下にハンマーヘッドのブロードマン地図を示す。但しこの地図はハンマーヘッドのタイプや品
質、形状、また硬化材の種類や使われ方の違いにより各音色要素の領域が大幅に変化するので参考
程度にしかならない。
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